ミヤマクワガタ(深山鍬形 Lucanus maculifemoratus)は、甲虫目・クワガタムシ科に属するクワガタムシの一種。
いかにもクワガタムシらしい風貌から、ノコギリクワガタとともに古来からクワガタムシの代表として親しまれてきた。
名前の由来である「深山」とは山奥の意味で、この言葉が示すようにミヤマクワガタは標高の高い山間部によく見られる。これは冷涼湿潤な環境を好むためで成虫の飼育の際には温度や湿度の管理に注意が必要。温暖湿潤な環境を好むために低地で生息密度の高いノコギリクワガタと対照的である。
関東では主にノコギリクワガタやカブトムシの方が多く見られるためミヤマクワガタは憧れのクワガタであるが、関西では平地でも見られるためカブトムシの方が子供達の憧れであった。
頭部に冠状の突起「(頭部)耳状突起」を持っていて、これがミヤマクワガタの最大の特徴である。これは小型個体では目立たないが、大型個体では発達する。耳状突起は大アゴを閉じる筋肉の付着面を限られた頭部の中で広げるのに役立っている。
オスでは体表には細かい毛が生えており、金色から褐色に見えるが、微毛は身体が霧や降雨で湿ると黒くなり、木の幹に擬態した保護色の効果と、熱線吸収率を調整するのに役立っている。
オスの大アゴには、エゾ型・ヤマ型(基本型)・サト型(フジ型)と言う3つの型があり、それぞれの型は大アゴの第一内歯と第三内歯の長さと、先端の二叉の大きさで大型個体は見分けやすい。
現在では繁殖方法の確立したオオクワガタより高価な場合がある。
関西ではノコギリクワガタをゲンジ、ミヤマクワガタを兵隊のバックパックからヘイタイと呼ぶ地域がある。
自在置物は関西で作られていた事が多かったため、クワガタのモチーフはノコギリクワガタよりミヤマクワガタの方がモチーフになっているものが多い。
大顎に加え各種脚や触角が可動。体色には六一0ハップによる硫化の上にとの粉で微毛の雰囲気を再現している。